電車にまつわるエトセトラ
学校へ向かうため、電車を待っていた
ホームが外に露出した小駅でのこと
わたしはそこから、おばあさんが歩いているのを眺めていた
おばあさん、踏切の少し手前まで歩いてきた
すると警報音が鳴り出す もう電車が来るね
しかしこのおばあさん、なんと歩みを止めない
おいおい!警報鳴ってるよ!
こちらの心配をよそにガンガン進むおばあさん
(ガンガンとは言っても、おばあさんの歩み基準のガンガンなので、無論スピードなんて全くない)
警報が鳴る前と変わらぬペースで、どんどこどんどこ歩いていくのだ
この踏み切りは、警報が鳴る→それぞれの車線の進行方向側の遮断機が降りる→残りの遮断機が降りる→電車通過、というしくみ
おばあさんが踏切の中ほどにさしかかるとき、手前の遮断機が降りた
おばあちゃん!いそいで!
しかしなお悠々と進むおばあさん
このおばあさん、自分のポテンシャルを過信しているのか、スピードを上げるということを全くしないどころか、急ぐそぶりすら見せない
だがそんなマイペースおばあさんと言えど、確実に前には進む
あっもうすぐ渡り終わる、よかった
と思った矢先、残りの遮断機が降り始める!
つい心の中で叫んだよ ババァー!!!って
さぁ、運命や如何に!
まさに紙一重!
すんでのところでババァは渡りきった
すごいぜ婆さん あっぱれ婆さん
この無鉄砲な老人に幸あれ
絶対に間に合うという確信、もしくは鋼の心臓がなければ、あんなペースじゃ歩けない
集団行動(日体大がやってるやつ)とかやらせたら、すごいセンスがありそうだと思った
無事おばあさんがわたりきり、電車がきた
乗車位置通りに電車は停車した
ホームと電車の距離はスレスレ
もちろんだ、そうじゃなきゃ乗り降りが危ないから
でも自分が電車だったら、絶対ぶつからない大丈夫な幅だって分かってても、ホームが近づくたびにヒヤヒヤするだろうな
こないだテレビで、鼻先スレスレに通過するよう設定されたボーリング玉がとんでくるのを、まばたきせずに迎えられるかというのをやってたのだが
それと一緒だよね
急行列車なんてなおさらだ、もう毎日毒手あいてのスパーリングみたいなもんだ
電車界では、強靭な極太神経を持つ限られた電車のみが、急行列車になれるのかもしれない
そうしたら、あのおばあさんの来世は急行列車かもしれないね