キッチンの思い
1
喫茶店でのバイト
わたしは飲み物も食べ物も作る
甘い系のそれらの多くにはミントが添えられる
ひとパックのミントは結構すぐに使いきられる
形のいいミントから使っていく
見た目に美しいので当然そうする
すると残りは小さいのや形の悪いのや破片ばかりになっていく
パックを使いきるころにはそれらしか残らない
もったいないので簡単には捨てない
それらの中から更に使えそうなのを吟味する
でも時間も食うし無いもんはない
最後にはすこしイライラしてくる
もう潮時、新しいパックを開ける
ミントの残骸たちにいよいよさよなら
でもこの瞬間、いつもとても申し訳なくなる
ミントはミントなのにね ごめんねと思う
2
喫茶店でのバイト
ソフトクリームの機械がある
ソフトクリームの原料は液体
それを機械のなかで冷やすとソフトクリームになって出てくる
注文ラッシュのときに原料が切れると地獄
原料の状態から固まるまでにはちょっと時間かかる
とりあえず急いで原料を足す
ソフト機のてっぺんのふたを開け、原料を注ぐ
原料は四角い紙パックに入っている
注ぎ口のない豆乳のパックみたいなやつ
パックの角を切り、勢いよく傾ける
パックのお腹を押し、猛スピードで注ぐ
ドッドッドッと勢いよく流れ出す原料
パック内に空気が入ることにより手に伝わる、鼓動のようなリズム
ところで動物の脈拍は心臓が小さいほど速いらしい
だからこのときわたしはいつも、吐瀉物を撒き散らすモルモットを握っているのをイメージしてしまって、嫌