秋へのお手紙

 

秋さま

 

拝啓

秋さまなんてお呼びすると、秋川雅史氏の熱烈なファンのようですね。それはさておき、今日は各々の季節についてわたしが抱いている思いをお伝えしたいと思い、こうして筆をとりました。

 

わたしは4月に生まれたもので、一番付き合いが長いのは春ということになりますが、あまり仲がいいとはいえません。あのひとの持つ新緑や風やあたたかさはとても好きです、しかし、彼女のキラキラ、ソワソワ、ワクワクした空気感は、わたしには眩しすぎるのです。

 

いまは夏の真っ盛りですね。わたしはいやに代謝がよいので、あの方といると大汗をかいてしまい、はっきり言って不快な気持ちになることも多いです。最近の彼は少し横暴がすぎるとは思われませんか。いくらそれが個性であるとはいえ、やたらめったら気温を上げればいいというわけではないと思います。あなたの方からも、それとなく諭しておいてはいただけませんか。

 

冬のことは好いています。夜が長い。毛布が気持ちいい。暗い色のお洋服が着られる。クリスマスムードの雑貨屋なんかは大好き。ガキ使の年末スペシャルがやる。わたしの年越しはもうずっとガキです。去年は置きにいった感じがしませんでしたか。序盤のチーム対抗戦は蛇足だと思われませんか。今年の暴露大会のコーナーに、宮迫さんはいないのでしょうね。話が逸れてしまいました。とにかくやつはわたしにとって、かなり好ましい存在です。

 

さて本題ですが、単刀直入に申し上げますと、わたしはあなたのことが大好きです。そう、これはラブレターです。あなたは冬のもつ多くの好ましい点をなかばそなえているのに加えて、寒いのではなく涼しい。ほんとうに出来た方です。

さらにわたしはあなたのもつ、なんというか、終わりに向かっていくような感じに、強く惹かれます。冬にもそれは感じられますが、年明けと共にどんどん萎えていってしまうので、その過程であるあなたの方により強い魅力を感じます。

また、わたしはあなたの色も大好きです。あなたっぽい色という方が分かりやすいでしょうか。先日、深い黄色のブラウスを購入しました。あなたっぽいでしょう。さらに、今年こそはと思って、いつもは買わない総柄のを買ってみたのです。あなたがいらしてそれを着られるのが、今からとても楽しみです。

その上、胃袋まで掴まれているときた。あなたの手掛けるサンマの美味しさは異常です。罪な方だ。あなたには非がありません。強いて言えば、去ってしまうのが早すぎることが悲しいです。わたしはずっとあなたといたいのに。

 

早いもので9月になりましたが、まだまだ日は長く暑さも和らぎませんね。夏には頑張りすぎないようにとも伝えておいてください。本格的にあなたがいらっしゃる日を、わたしは心待ちにしています。

かしこ

 

手前